2020年04月23日

DCCサウンドの作り方 その8

突然、ディーゼルの走行音の話になってややこしくなったので、小休憩します。

ここでは、発車ベルを切り出すノウハウについて説明していきたいと思います。これまた、かわけいさんの東急の発車ベルの音です。

5050_発車ベル_20200423.wav

まずは、適当に、start、loop、endという3つのラベルで発車ベルの中身を区切っていきます。

LokProgrammer_loop_1.png

ここから、ループ音(繰り返し流す音の範囲)を探索して、切り出していきます。

まず、波形をよーく見ると、似たような形が何度も繰り返しているのが見えると思います。つまり、似たような所の範囲をうまく決めてあげれば、同じ音を鳴らし続けることができるわけです。

LokProgrammer_loop_2.png

まず、startとloopの間を調べていきます。一番、音の振幅が小さくなるところを調べて、そこを拡大します。すると、以下のような部分が見つかりました。ここのゼロクロス部分をstartラベルとloopラベルの境目になるように位置をずらして調整します。○の部分をD&Dするとずらせます。

LokProgrammer_loop_3.png

同じように、loopとendのラベルの境目も探します。ちゃんと、先ほど決めたstartとloopの間の境目とキレイに繋がるように、波の上なのか下なのかをきちんと決めておいてください。ここでは、上側の振幅がゼロになる部分で切ります。

LokProgrammer_loop_4.png

音を鳴らして確認しましょう。loopの範囲を選択して、Shift+Spaceを押すと、ループ再生してくれます。

LokProgrammer_loop_5.png

狙ったとおりにできたら、複数ラベルの書き出しで、保存します。私は以下のようなファイルを書き出せました。

bell.zip
posted by yaasan at 21:07 | Comment(0) | 鉄道模型

DCCサウンドの作り方 その7

としさんと、とらねこさんが楽しみというので、続けます。

具体的に、どんな風に音を変えて行くのかを説明します。

まず、Sという所に居る(=F1をONして、停車している。音はガラガラとアイドル音がしているが走行中では無い。)とします。赤い矢印に注目してください。
最初のSから出て行く矢印に「2 :[share1 != 200 & S1 = false & req > 0]」と書かれているはずです。

LokProgrammer_kiha261_6.png

最初の数字は優先番号で、小さい数字ほど優先されます。一つのブロックから複数の矢印を出すときに、この番号で、どの矢印を優先するかを決めてあげます。その後、share1 != 200 & S1 = false & req > 0という謎の文字列がありますが、ややこしいので、最後のreq>0だけ見てください。

reqは、「速度のリクエスト」という意味になります。つまり、req>0は「速度のリクエストが0より大きい」という意味と理解してください。この条件が成立したとき、矢印に沿ってブロックを移動します。
速度のリクエストって何だっと言うと、お手持ちのスロットルを使って車両のスピードを0より高く変えて速度を指定したときということです。

注意なのが、spd(スピード)という言葉がこの後出てきますが、これは車両(モーター)の実際の速度です。速度のリクエストは、遊んでいる人が指定した速度です。加減速があるので、常に一致するとは限りません。加減速中は必ず異なると思ってください。混同しやすいので注意です。

話を戻すと、そのあと、SDというブロックに入ります。実は、このブロックは「コンテナ」というブロックで、中にブロックが入っています。ブロックをまとめる箱と思ってください。中では、ブレーキ緩解・緩め音を出すブロックが配置してあるだけです。プシューとかヒューーーンとかの音を出してるだけです。

SDブロック(コンテナ)の中身:
LokProgrammer_kiha261_7.png

その後、1:[true] という矢印がスロットルアップA_02というブロックに繋がっています。これは、「どんな条件であっても」という意味になります。つまり、特に条件は無いけど動いて良いよ、と理解してください。

SDブロックの中で、ブレーキ緩解・緩め音が再生終わったら、無条件に、スロットルアップA_02に移動するわけです。

スロットルアップA_02に注目しましょう。矢印が2本でているはずです。赤矢印はD1のブロックに、青矢印は下の方を向いてます。D1に向かう矢印は、2:[true]となってます。一方下に向かう矢印は1:[acc<0]となってます。

LokProgrammer_kiha261_8.png

どういうことかというと、acc<0 というのは、「加速がマイナスだったら」という意味です。つまり減速していたら、ということです。発車直後に、飛び乗ろうとしたお客さんがいたんでしょうか、急停車ってことです。減速が始まったのに音を加速させるD1のブロックに移動したら不自然なので、アイドルの方に行く青い矢印を作っているのです。

矢印の条件は、以下の左側のところに記述します。

LokProgrammer_kiha261_9.png

条件のところをダブルクリックすると、内容を編集できます。

LokProgrammer_kiha261_10.png

とりあえず、D1ブロックまで説明できました。

ご参考までに、S〜D1までに割り当てている音データを以下に置いておきます。データ協力: YOMIX様、yusa様
kiha261_A.zip

ブロックの割付は以下の通り。
S: Idle.wav
スロットルアップA01: A01.wav
スロットルアップA02: A02.wav
D1: Aloop.wav
DC1: AX.wav
アイドル: Idle.wav
posted by yaasan at 12:40 | Comment(1) | 鉄道模型

DCCサウンドの作り方 その6

キハ110(キハ261と同じ)のディーゼル走行音のソフトで動きを見ていきましょう。VVVFの場合は単純なので、説明するまでも無いですが、ディーゼルは少し複雑なので、解説していきます。

まず全体のブロック図は以下のようになってます。速度に応じて、ブロックから違うブロックに移動していく流れです。大きくは、ファンクションオフ、停車時、アイドル時、加速、の4つの塊に分かれます。

ファンクションオフ→停車→加速→アイドル→加速→・・・・→アイドル→停車→ファンクションオフ、のようにこのブロック図の中で動いていくことで、走行音を実現しているのです。

LokProgrammer_kiha261_1.png

オレンジ色の矢印は、速度が上がるとブロックをどんどん移動していく流れを示しています。速度は最高速度が255、停車が0という数値の範囲になってます。プログラミングをされる方はすんなり理解されると思いますが、慣れていない方は最大値が100ではないことに、ご注意を。

たとえば、速度が10から30に変化したらここまでこのブロックは音を鳴らす、などとなってます。速度は少しずつ上がるように設定してありますので、ブロックはすぐに一番右には行きません。おおよそ1分程度の時間が掛かりますが、これはDriving Characteristics(デコーダタブで設定可能)の加減速時間で決まります。この時間は、サウンドの再生時間の絡みで自分で決めます。最初はエイヤでだいたい合ってれば大丈夫です。

加速が終わると、一番下の”アイドル”ブロックに移動します。このとき、DCxというブロックを通過しますが、加速が終わった音をすぐにアイドルに切り替えると不自然なので、吹き上がる良いタイミングでアイドルになるように、音をクロスフェード加工したり、キリの良いところで切るように作り込んでおきます。CDxはその逆で、アイドルから加速音に移行するときの音を作って配置するために置いています。

LokProgrammer_kiha261_4.png

分かりにくいと思うので、キハ261の走行音データとブロック図の対応付けをしてみました。
囲った部分の音波形を切り刻んで、ブロックに音を割り付けて鳴らす形です。完全にこれらのブロックにセットする音データをこの生波形から全て作れる訳では無いですが、イメージとしてはこの通りです。

LokProgrammer_kiha261_5.png

それでは、各ブロックはどのように設定されているのかを説明します。

LokProgrammer_kiha261_2.png

ブロック内部のプロパティの説明をします。

LokProgrammer_kiha261_3.png

・Sample
このブロックに入ったときに再生される音を、音ファイルリストから選びます。

・Repeat Playback
loopにチェックすると、Sampleで設定した音を再生し続けます。次のブロックに移動する条件が成立すると(矢印に条件を記載する)、自動的にloopは止まって次のブロックに移動します。
loopにチェックしない場合は、MinとMaxに数値を入れて鳴らしたいループ回数を指定します。minとmaxで数値を変えると、ランダムにその中の間でループ回数を決めて鳴らしてくれます。

・Flags
Drivestopにチェックを入れると、このブロックにいる間は車両を動かさないようにします。

・Mapping
このブロックに紐付けるサウンドスロットなどを設定できます。紐付けたサウンドスロットは、このスロットと一緒に同時に動くようになります。たくさんのスロットを割り付けると、同時再生スロット数を超えておかしな動きをするので注意して設定しましょう。
posted by yaasan at 09:32 | Comment(0) | 鉄道模型

DCCサウンドの作り方 その5

ここでは、LokProgrammerのよく使う機能が、どこにあるのかをまとめていきたいと思います。

・LokProgrammerソフトのダウンロードとインストール

LokProgrammerソフトをESUのページからダウンロードしてインストールしておいてください。なお、書込みや試運転をしないのであれば、ハードウェアのLokProgrammerは不要です。パソコンだけでOKです。繋ぐ必要もありません。

LokProgrammer_ESUSite.png

・起動直後

起動直後は、以下のような画面です。オープンサウンドデータのファイルを開くと色々な機能にアクセスできるようになります。新規作成しても良いですが、難易度が高いので、既存のファイルを使うのが良いでしょう。

LokProgrammer_New_1.png

たとえば、キハ110のサウンドを開くと以下のようになります。

LokProgrammer_New_2.png

左側のタブにいろいろ増えましたが、説明すると以下のような感じです。画面が切り替わって編集したり設定できるようになります。

LokProgrammer_New_3.png

・サウンドの編集画面の説明

Soundのタブをクリックすると、以下のような画面になります。この画面が、サウンド編集で一番よく使うものになります。

LokProgrammer_Sound_1.png

・サウンドスロットって?

サウンドデータを鳴らすためのチャンネルと思ってください。LokSound5は10のサウンドスロットを同時に再生できます。サウンドスロットに、様々な音を個別に登録して、条件に応じて鳴らしたりすることで、車両の動きを表現します。以下は、VVVFのサウンドスロットの例です。
なお、1つのサウンドスロットで同時に再生できる音は1つだけです。ならし終わったら、違う音を鳴らすことができます。よって、同時に複数の音を鳴らしたいときは、他のサウンドスロットを関連づける機能が一つ一つのブロックで設定できるので、それを使用して、他のサウンドスロットを呼び出して鳴らすこととなります。

Audacity_VVVF0.png

・サウンドの作り方の例

以前に書きましたが、ループを作る例はこちらです。

ファンクションがONの時だけ鳴り続けるサウンドスロットを作る

posted by yaasan at 08:49 | Comment(1) | 鉄道模型

オープンサウンドデータの利用規約の改訂(一部緩和)

オープンサウンドデータの利用規約を一部緩和する改訂を実施しました。

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追加した文言:
本ページのサウンドデータを改変することが許容されていますが、改変したデータ単独の販売は行ってはいけません。デコーダへの書込みサービスでの提供、書き込んだ模型の販売が許容されます。なお、販売やサービスを行う際には、オープンサウンドデータをベースに作成したことを顧客に明示しなければなりません。
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今まで、改変して書き込むサービスがNGという内容でしたが、修正やアレンジをして書き込んでも良いという内容を追加しております。例えば、サウンドデータに何らかのバグや不具合などがあったときに、模型店側で修正できないという問題があったため、その是正を実施しました。
また、オープンサウンドデータのデータに対して、お店独自の付加価値を付けて、その部分にはお店やメーカーの差別化要素を入れて、DCCサウンドをビジネス的にも活用しやすくすることで、一般により広まりやすくなると考えております。

また現在、こちらからお声がけをしていて、検討や準備を進めている鉄道模型店様や、模型メーカー様を除き、今後は積極的に模型店様や模型メーカー様への働きかけを行うことは控える方向としたく存じます。

オープンサウンドデータは、基本的にメールやFace to Faceでの個別のサポートは行っておりません。ご質問や、バグレポートなどは、デジタル鉄道模型フォーラム(登録・年会費は無料)へ書込み頂きますよう、よろしくお願いします。
posted by yaasan at 08:10 | Comment(0) | 鉄道模型