2020年04月22日

DCCサウンドの作り方 その4

オープンサウンドデータの走行音は、加速と減速、走行音(風切り音)の3つで大きく構成されてます。

走行風の音は、速度に応じて低くなったり高くなったりします。これは、サウンドスロットの設定で速度に応じて変わるように設定してありますが、今後、細かいことは説明します。

オープンサウンドデータのVVVF系のデータは、MBさん、かわけいさんの作ったデータをベースにしているので、ほとんど同じテンプレートになっています。以下の図の赤矢印で書かれたスロット(音が出るチャンネル)が該当します。

Audacity_VVVF0.png

ここで紹介するのは、走行風の音では無く、加速と減速の独特の音をLokSoundから出すための音の編集作業になります。収録する際は、レコーダ(スマホでもOK)で、車内で録音すると思いますが、停車〜加速〜惰行〜減速〜停車の流れになるはずです。この中から、加速と減速の部分だけを切り出していきます。

切り出すのは、加速と減速の2つの種類になりますが、それぞれを6つに分割します。7つでも8つでも良いのですが、オープンサウンドデータでは6つで分割することを基本にしてます。6つと言うことは、つまり、速度の段階が6つあると思って頂いて構いません。DCCでは127 Speed Stepで127段階の速度がありますが、サウンドと連動させるために、これをあえて6つに区切るわけです。127で区切っても良いんですが、非常に複雑になるので、今までの知見から6つに分割という方針に落ち着いています。

LokProgrammerでの、VVVFの実際のサウンドプログラムは以下の通りです。見ての通り、6つの黄色のブロックに、加速の6つの分割した音、減速の6つの分割した音をはめ込んで、速度に応じて音を鳴らしているだけなのです。

加速:
Audacity_VVVF14.png

減速:
Audacity_VVVF15.png

それでは、東急50X0系の加速〜惰行〜減速の音から、走行音の切り出しを行っていきます。なお、切り出す前には、音の修正などいろいろ弄らないといけないのですが、既に修正は終わった物として、理想的な加速・減速サウンドになっている前提で進めます。

発車〜惰行までの範囲を、予め聞きながら把握しておきます。この範囲を6つに分割します。分割の仕方は様々ですが、なるべく低速を短くするのがコツです。まず、発車直後の部分をラベル付けしていきます。

Audacity_VVVF1.png

選択範囲にラベルを付けます。ラベルを付けた後からでも位置の調整はできます。

Audacity_VVVF2.png

Audacityでは、ラベルを付けることで、いつでもラベルに沿ってWAVファイルを書き出すことができ、非常に楽ができます。DCCサウンド作成には必須の機能と思います。これは、VVVFだけではなく、他でも使用できます。今後紹介する、ディーゼル走行音の切り出しでも同じです。

Audacity_VVVF3.png

これを繰り返して、加速完了まで6つのブロックを作っていきます。

Audacity_VVVF4.png

加速部分のブロックを作り終えました。

Audacity_VVVF5.png

なお、ブロックの間は、ゼロクロスする部分(値がゼロのところ)にするのがコツです。と言うのも、ゼロ以外で切ると、ブツ音がする場合があるためです。このちょっとした編集で、確実にブツ音を消せます。また、さらに調整できるのであれば、VVVFの音の区切りの部分のゼロクロスで切るのが一番良いです。

このテクニックは、ループ音(同じ音を繰り返し再生する)の作り方にも使用します。特にディーゼルでは必須のテクニックなので、絶対に覚えておきましょう。ループの場合は、ループ前後の似た波形とゼロクロスを探すという追加の根気の要る作業も加わります。

Audacity_VVVF6.png

次に減速のブロックを作っていきます。同じように減速の始まりの所を選択してラベルを付けていきます。

Audacity_VVVF7.png

減速の始まりの所のラベル付けをしました。これを繰り返していきます。

Audacity_VVVF8.png

停車までの区間を、ほどよく調整して、ラベル付けを完了しました。

Audacity_VVVF9.png

ファイルメニューから、複数のファイルの書き出しを選択して、実際にWAVファイルを書き出していきます。

Audacity_VVVF10.png

出力先フォルダを指定します。走行音だけのフォルダを作ると良いでしょう。

Audacity_VVVF11.png

以下のように、ラベル付けした範囲が個別にWAVファイルに書き出されます。

Audacity_VVVF12.png

書き出したWAVファイルは、LokProgrammerのサウンドファイルリストを上書きする(エクスプローラー等からドラッグアンドドロップ)ことで、データに反映させることができます。このファイルは、上で説明した加速・減速のプログラムに紐付いているサウンドファイルです。差し替えれば、自動的に音が差し替えた物に切り替わります。

Audacity_VVVF13.png
posted by yaasan at 19:50 | Comment(0) | 鉄道模型

DCCサウンドの作り方 その3

今回は、収録してきたサウンドの加工について挙げます。

加工で行う作業は以下のものです。

・必要な音を取り出す
・不要な音を消す(ノイズ低減処理、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタなど)
・音の大きさを適切に直す(増幅、ノーマライズ)
・音のループを作る(警笛、SIV、ベル、ディーゼルのアイドル音、吹き上がり音など)

これらは、先ほど紹介した無料のサウンド編集ソフトのAudacityで行えます。

基本的な操作は、入門サイトなど自分で調べて頂ければ幸いです。私がよく使うフィルタは以下です。

Audacity_Filter.png

特に使うのが”ノイズ低減”です。たとえば、以下のように、ドア開閉音があるとします。

Audacity_door1.png

ホワイトノイズやバックの音を消したい時、以下のようにバックグラウンドの音が入り込んだエリアを選択します。

Audacity_door2.png

ノイズ低減を選択して、選択エリアをノイズとして登録します。

Audacity_door3.png

次に、ノイズを低減したいエリアを選択します。ここでは全部です。バックグラウンドの音は、ドア開の音全体に入り込んでいます。この音を消すことで、ドア開の音だけを抽出できるのです。

Audacity_door4.png

再度、ノイズ低減を呼び出して、調整します。除去のレベルはさじ加減をプレビューで確認しながら行います。かけ過ぎると、キンキンな変な音になるので、ギリギリを狙って再調整を繰り返します。

Audacity_door5.png

ノイズ低減処理でOKを押すと以下のように低減されます。バックグラウンドの音が小さくなって、キレイになっているのが分かります。

Audacity_door6.png

前後を切り落として、ドア開だけの音になるように長さを調整します。

Audacity_door7.png

あとは、音の大きさを調整するために増幅したりするなどして、微調整すれば完了です。WAV形式で保存すれば、LokProgrammerに登録して、DCCデコーダから音を出すことができます。

■走行音の加工・編集

まず、走行音。以下はYOMIXさんのディーゼル音(キハ261)の例。
Audacity_DIESEL_K261_1.png

次は、かわけいさんにもらった、東急50x0電車の例。
Audacity_VVVF_TQ_1.png

ディーゼルと電車では、作成のアプローチがまったく異なります。

ディーゼルは、エンジンを吹かす音、ギアチェンジの音、ターボ音などが変速ごとに変わるので、その組み合わせを順に切り替えていくようにサウンドを加工していきます。変速が切り替わった後に、自然なように音を弄るのがポイントです。惰行は、アイドル音のガラガラ音だけなので、走行風の音や、レール継ぎ目音を入れて自然になるように調整する形です。減速はブレーキ音のキキー音や、機関ブレーキの音が中心なので、そこを重ねて出せば良いです。

電車の場合は、加速と減速の両方の音を6〜7の段階に切り刻んで作成します。VVVFは減速でも特有の音がありますので、速度に応じて鳴るように、減速音をきちんと作らないといけません。

作り方や編集のアプローチが違うので、そこは気をつけて作っていきましょう。それではディーゼルの走行音の切り刻み方を説明します。

まずは、VVVF音の編集について、次に説明していきたいと思います。
posted by yaasan at 14:10 | Comment(0) | 鉄道模型

DCCサウンドの作り方 その2

ここでは、必要な物、機材の揃え方(輸入方法)、録音の手段やコツを挙げていきます。

必要な物は以下の通り。

編集で使うもの:
・Windowsパソコン(Macの方はBootcampやParallels等の仮想PCソフトをどうぞ)
LokProgrammer(ソフト、無料)
LokProgrammer(ハード、輸入で15000円くらい)
LokSound5デコーダ(microでもOK)
・デコーダテスタ(ESUのでもlaisdccのでも何でもOK)
Audacity(音編集ソフト、無料、好みがあれば他でも可)

LokProgrammer_DecoderTester.jpg

LokProgrammerとLokSound、デコーダテスタを入手しないと始まりません。たぶん、オープンサウンドデータを使ってる人達は、全て持っているケースが多いと思いますが、持っていない方は、輸入をお勧めします。

日本のDCCマニアがよく使うのは以下の2つのお店です。

モデルバーンショップ lippe
EURO LOK SHOP

古いLokProgrammerをお持ちで、Windows10で動かない!という方は、秋月電子のUSBシリアルアダプタがそのまま使えます。と言うか、最新のLokProgrammerに付属の物と同じものが国内でも売ってます。

■収録に向けた心構え(形で入らないように。スマホ持ってますか?)

収録で使うものは、ぶっちゃけますと、スマホ1台でもOKです。ただし、収録がやりにくい、雑音や風切り音が入りやすいので、そこそこ性能の良いスマホ向けの外付けマイクがあるとベターです。キハ261の音も、iPhoneと外付けマイクで収録したと聞いております。

recording2.jpg

ただ、良いレコーダがあればそれに越したことはありません。周りを見ると、TASCAMを使われる方が多い印象です。レコーダよりも、風防(ウィンドジャマー)の付いたマイクが一番重要に思ってます。

形から入らずに、まずはお手持ちの機材や、少しお金を出せば買える風防付マイクで、まずは収録にチャレンジしましょう。お金に余裕が出れば、レコーダを買うのも良いです。

■収録のコツ

・風切り音に気をつける・風防付マイクを絶対に使う

マイクに風防(フワフワしたネコの毛みたいなもの)のあるなしで、雲泥の差です。風防無しで録音したものを聞いたら風切り音だらけで使い物にならない・・・なんてことはたくさんあります。
なお、どうしてもないときはタオルやハンカチでマイクを被うだけでも少しは違います。

風切り音とは違いますが、感度が良いマイクでは、マイクを触る音も拾ってしまうケースがあります。この場合は、マイクをなるべく触らないようにするか、スポンジや防音シートを付けて触る音を低減するなどの工夫が必要です。レコーダ付属のマイクだと、対策されてますが、外付けマイクで超高いようなものは気をつけましょう。

・音の出るところまで限界まで近づく(YOMIXさんの収録テクニック)

音は、距離が遠くなると、ものすごく音量が下がります。安全を最優先にしながら、できる限り近づけるように収録する場所を工夫しましょう。

たとえば、車内アナウンスは、スピーカーのすぐ目の前にマイクを置いて収録。床下音は、VVVFならモータの近く、ディーゼルならエンジンの近くの座席に着席後、周囲の音を拾わないように、マイクを鞄で被って抑え付けてしまう等です。

SIVやコンプレッサーの音は、駅のホームでは無く、そばに道路があればそこから収録する方がより近づけて品質が良くなります。

recording.jpg

・何度も何度も堪え忍ぶ

周りのお客さんが咳をするなんて日常茶飯事。反対側のホームに電車が来て音が被るのも当たり前。何十回も収録し直すことを想定しましょう。1発で取れることなんてありませんよ。

■収録しなければならない音

何を収録すれば良いのか、必要な物を以下に挙げます。なお、できる限り何度も同じ音を録りましょう。まともに使えるのは、ほんのわずかなケースが多いです。

車内で収録する物
・車内アナウンス
・電車内での、走行音(停車〜加速〜惰行〜減速〜停車)
・ドアの開閉音
・ATS、ATCなどの信号系の音(運転席)

駅で収録(なるべく、トンネル内や開削して作られた駅では無く、開けた駅で録りましょう)
・床下のブレーキ緩解、緩め音
・ブレーキ音
・コンプレッサーの音
・SIVの音
・駅のアナウンス
→道路から収録、駅のスピーカーが一番背の低いところを探すなど、あの手この手でいきましょう。なお自撮り棒で録音してる人いますけど、NGですよ。架線に当たって感電死しますよ。

車庫や夜間に泊まる駅で収録
・パンタ上げ、下げ
・起動音、電源オフ音

rokuon2020_1.jpg

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この次は、音の編集のコツです。ノイズを消したり、小さかった音を大きめに直す作業です。主に使うのは、Audacityです。SoundEngineなど、別のソフトを使っても良いです。ここは好みです。
posted by yaasan at 13:08 | Comment(0) | 鉄道模型

DCCサウンドの作り方 その1

いつまで続くか分かりませんが、DCCサウンドの作り方を書いていきたいと思います。

基本的にオープンサウンドデータをベースとします。デジトラックスやZIMOなど、いろいろな会社がサウンドデコーダを出していますが、当方としては、値段は高いですが性能もクオリティも一番のESUのサウンドデコーダシステム「LokSound5」を基本とします。一番良いものを知っておいて、あとは割り切るというのが、良い方向かと思います。

書いていく内容の流れは以下としようと思ってますが、脱線するかもです。

・必要な物、機材の揃え方(輸入方法)、録音の手段やコツ
・収録のコツ、Audacityでの走行音の切り刻み方、必要に応じてSpectraLayersでのノイズ除去
・VVVFのサウンドの作り方
・ディーゼルサウンドの作り方(キハ261ベース)
・著作権で気をつけること
・まとめ

以前と違って、非常にハードルは下がりました。私も、サウンドを作り始めて1年経ってませんが、多少の割り切りもしてますが、そこそこのサウンドを作ってます。

もともと前提知識があったのが、慣れが早かった要因でもありますが、正直なところ、DCCサウンドデータを作る事は、ものすごく難しいというものでもありません。ただ、音を収録する、編集するという点に、一番の労力が掛かります。

クリエイターの皆様のご意見やアドバイスを頂きながら、サウンドデータをもっとたくさん増やして、DCCを楽しくしたいと考えております。皆様に、ぜひともご協力を頂きたく、まずはサウンドデータの作り方を、本ブログにて、逐次書き記していきたいと思います。

たぶん、私の汚い記事を、他の方によってオーバーライトして頂くことは、全く問題ございません。いろいろな見方があると思いますので、ぜひとも、作成してコツを掴んだ方は、その流れを紹介頂ければ幸いです。
posted by yaasan at 12:46 | Comment(0) | 鉄道模型