2020年11月13日

DCCコマンドステーション FireBox

Wasatch Scale ModelsがkickstarterでクラウドファンディングしていたコマンドステーションのFireboxですが、いつリリースされるのか注目していたのですが、10/10のアップデートで、支援者のみに通知を出しているようです。

Firebox_theend.png

”The end of the road”は、直訳すると、「道の終わり」なので「ゴールに到達したってことか。まもなくリリースか」とつい思ってしまいますが、英英辞典で引くと、英語としての本来の意味が出てきます。

「the point at which it is no longer possible to continue with a process or activity」
プロセスや活動を続けることができないということを指す

つまりすごくネガティブな何かを書いているという事なのであります。私は支援者ではないので何が書いてあるかは知りませんが、タイトルを見るだけでも、そういうことなのかなと思ってます。

私もDCCコマンドステーションを開発してきて、その大変さを身に染みてわかっておりますので、このプロジェクトは続けることが難しいだろうなと最初からずっと思っておりました。

今回、このクラウドファンディングで$10,534(約110万円)を元手に開発するという事になっていましたが、目標の機能を実現するためには非常に少なすぎるというのが個人的に思うところです。外注費を基板製造に抑えて、回路やソフトを自分で設計するとしても、何かミスがでるだけで、すぐに資金ショートすることとなると思います。

低予算の場合には、スモールスタートとして、ファームウェアで徐々に時間をかけて機能を追加するという手法をしないと、非常に難しいと思いますし、その場合にはクラウドファンディングを使うことは避ける方が良いと思います。というのも、クラウドファンディングをするとなると、それなりの目標を立てないと、お金を集めることができません。そして、その高い目標を支援者の望む期間内で開発を行って完成させるだけでも非常に大変です。開発完了後には、さらにハードルがあり、一度に大量の製品を製造し、発送することが待っています。短期間で製造し、発送するには人手もお金もかかります。
お金を掛けないようにするには、時間をかけて開発し、少しずつ発送する手法を取るしかなく、それはクラウドファンディングではなく、頒布の形がベターです。

私も、何十回とクラウドファンディングやればと言われましたが、上記の問題が分かっていたので、避けていたのが実際のところです。リスクを避けるには、小さくして始める(スモールスタート)が重要なのです。ハードウェアのクラウドファンディングは、どう考えてもスモールスタートは難しいでしょう。

ウチと同時期に出てきた国内外のいくつかのDCCメーカーは、本格的な始動に至らずに休止・廃業となっています。実のところ、ウチも埋め合わせて形を繕っているだけであり、いつThe end of the roadが来ても、まったく不思議ではありません。

オープンサウンドデータのおかげで、この1〜2年は生き延びられました。しかし、オープンサウンドデータが、ごく当たり前のものとなってしまった状況の中で、2021年以降、成長をしていくにはどうすればいいのか?今のところ、No Ideaであります。
posted by yaasan at 19:19 | Comment(0) | 鉄道模型