2016年03月23日

デジタル鉄道模型・DCCのための計測器の選び方

DCCの電子工作を行うにあたって、アナログとは大幅に異なる信号が多用されます。アナログ鉄道模型とおなじ感覚で計測器を使うと、最悪、デコーダなどを壊すなどの致命傷を与える場合があります。

ここ最近、連続して多くの誤った使い方が見受けられたので、ここで私の知る限り(勘違いもあるかもしれませんが)、まとめておきたいと思います。

まず、信号の種類別に計測できる・出来ない測定器を挙げたいと思います。

■DCC信号、PWM

線路に流れるDCC信号や、TB6643KQ, BD6231F-E2等のモータードライバの出力のPWM信号です。電圧は12V〜24Vの範囲となります。

○ オシロスコープ、パワーメーター
✕ テスタ、クランプメーター
△ ロジック・アナライザ(電圧変換・調整が必要)

Deadtime_0720_Before.png

解説:PWMやDCC信号は、パルス状のデジタル波形信号となっており、周波数帯が10kHz〜30kHz程度です。この周波数帯を測定するには、サンプリングが高い測定器が必要で、一般的に売られている安価なデジタルテスタでは通常困難です。アナログテスタは測定不能(というか壊れる可能性もある)ですのでお気をつけ下さい。また、電圧も5Vよりも高いので、ロジック・アナライザで5Vのみ対応機種の場合は、分圧や電圧変換が必要になります。

オシロスコープ:
measurement_2.jpg

ロジック・アナライザ:
measurement_4.jpg

■直流電源

ACアダプタの出力や、レギュレータの出力などの直流電源です。

○ オシロスコープ、テスタ、クランプメーター、パワーメーター

デジタルマルチテスタ:
measurement_5.jpg

■発熱

過熱した場合に、チップがどれくらい熱くなったのか定量的に測定する方法として、温度計があります。
以下の様な赤外線式の放射温度計を使うと簡単に温度が測れます。

measurement_1.jpg

■測定の注意点

測定中にデコーダが壊れた、おかしくなったという症状では、デコーダ自体の問題以外に、測定方法に問題が合った可能性があるということを頭に入れなければなりません。プローブの当て方で隣のピンに当たったとかはよくやる失敗の一つです。

測定するときは、測定器の内部回路を頭に描きながら行わなければなりません。ちなみに考えることは、以下のGND共通の部分だけでほとんどのケースでは大丈夫です。

オシロスコープは、明記がない限り、GND共通です。1チャンネルだけ使う分には問題無いですが、2チャンネルで同時に測る場合、たとえばDCCの信号を測りながら違う部分を測定しようとすると、配線に注意しないとあっさりショートします。詳細はこちら。電流の流れる経路でデコーダに過電流が流れると「デコーダを壊した!」になりますので、ご注意ください。

結論としては、GND(共通電位)を意識して測定することがポイントとなります。

■まとめ

特にデジタル鉄道模型は、数10kHzの高周波とそこそこ高い電圧(といっても弱電レベルですが)を扱うため、動作解析にはオシロスコープが必須な状況です。テスタで皆さんがんばってますが、テスタはあくまでも直流や低周波の交流、抵抗値や導通を測るもので、高周波の信号は測れないということを覚えておきましょう。

私はOWON(Liliput)のSDS6062を使ってますが、4万円も出せない人も多いとは思います。ただし、Elecrowに基板を発注するような人は持っていたほうが圧倒的に便利なので損は無いです。

デコーダの動作を確認するくらいであれば、ポケットオシロでも良いはずです。それなりに実績のあるSeeeedStudioのDSONanoなら1万円を切る価格で売ってます。電圧範囲も80V peak-to-peakなので、デジタル鉄道模型の範囲は全部カバーしてます。サンプル数は1Mなので、usオーダーの波形観測が中心となると思います。

サンプル数が心もとない人は、上位機種のDSO Touchもよさげですが2万円になるので、使い勝手を考えるともっと足してSDS6062を買ったほうが良いような気もしますが・・・。

「中華製なんて嫌だ!」という方は、テクトロのエントリークラスオシロTBS1000Bシリーズをどうぞ。でも、テクトロの中国部隊が設計している(テクトロの人が言ってた)らしいので、中華製といえば中華製ではありますが。一部のメーカーのエントリークラスオシロは、中国メーカーのOEMだったりもするので、よく知らべた方が良いと思います。

テクトロは信頼性は信じていいと思いますが、デメリットとしては波形メモリが全然ないので、私は波形メモリたっぷりの中華製にしてます。ただし中華オシロの操作性は微妙に使いにくいので、こればかりは好みです。

SDS6062を買った経緯は以前に記事にしてますので御覧ください。
posted by yaasan at 07:28 | Comment(0) | 工作
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