2017年02月15日

D101(DCS50K)のACアダプタっぽいものは使用しないでください その2

いろいろ情報が錯綜していて、混乱があるのでコマンドステーションのメーカーとしての電源の在り方について見解を述べさせていただきます。

■Desktop Stationの電源の方針

スイッチング方式のACアダプタのみを推奨します。AC出力式、シリーズ式、単純なトランス・平滑化方式は使用禁止です。
電流が無負荷であれ、定格負荷であれ、電圧は記載されている範囲に収まっていることを前提とします(電圧がフィードバック制御されていること)。

電圧は、12V〜18Vまでとし、DSmainR5については7805レギュレータを降圧チョッパ式のレギュレータに変更することを前提に、24Vまでを許可しています(1, Gゲージ向け)。
DSoneについては、20V付近で過電圧エラーを起こすように機能を持たせています。DSblueboxについては、電圧チェック機能を持たせておらず、エラーにはなりませんが、20Vを超える電圧を掛けることは禁止します。
DCC/MM2シールドは、Arduino UNOの仕様に左右され、Arduino UNOの要件を踏襲し、12Vを標準的に使用する事を推奨としています。

■他社のコマンドステーションについて

他社のコマンドステーションについて、弊社が見解を述べることは不適切でありますが、当社のフォーラムで不具合の指摘に発展するなど問題になっていることもあり、他社に配慮をしつつ、第三者として客観的な意見を記載させていただきます。決して、他社のコマンドステーションを否定したり設計の不備を指摘するものではないことを、ご承知おきください。

>K社29-165 ACアダプタについて

AC出力式、シリーズレギュレータ等の負荷が接続されている場合、妥当な仕様であると判断します。
理由としては、シリーズレギュレータは負荷電流が増大すると電圧降下の電流消費が激しくなり、十分な電圧を供給しないと、十分な電圧を出力できなくなるためです。

無負荷時でAC18V(実効値)ですので、AC15V/3Aは多少大きいと思いますが、トランスの細かな仕様は不明ですが、目的に対しては十分妥当であると思われます。

なお、AC出力式ですので、絶対にその他の機器に流用してはいけません。

>K社29-169 ACアダプタについて

スイッチング式で、弊社の要求するACアダプタの範囲に適合するアダプタと推定されるため、流用は自己責任の範囲で問題ないと考えております。

>K社29-168 ACアダプタについて

フジガヤさんスマイラーさんのオシロ波形から、安定してDC21.5V程度を出力するということは分かっています。交流についてピーク値と実効値を勘違いされる方がいらっしゃるので、ここで電機屋として正解を述べさせていただきます。

ピーク値とは交流波形の一番大きい頂点の電圧値のことを示しており、この値の1/√2をとった値が、実効値と呼ばれます。実効値は、その交流波形を平滑化して直流にした場合の電圧値に相当するものです。詳しくは、電気回路の教科書の交流のページを読んでください。電気科を卒業した人なら必ず知っていることです。

つまり、21.5V(DC)というのは、交流・実効値の21.5Vと同じです。ピーク値で言うと、30V(AC)程度になります。

話をややこしくしているのは、29-168の銘板に書いてあるDC15Vという数値です。√2倍すると、なんと21.2Vと、今回の21.5Vという数字に近いです。電源というと、たいてい、精度はプラスマイナス5%なので、一致と考えても差し支えは無いでしょう

これが、ピーク値と合っているから、29-168アダプタの出す電圧21.5Vは妥当だという意見をされている方がいらっしゃいますが、実効値とピーク値の話を先に述べた通り、合ってないことは明らかです。
よって、どちらにしろ、29-168は無負荷・軽負荷時には銘板よりも6VDC近く高い値がでるということは明らかです。これは、電機屋としていろいろと深く考えて、私には理解できない非常に深い設計理由があるのだろうと思い、サーバー電源をバリバリ作っている副業先の先輩などと雑談しましたが、結論はでませんでした。

DC21.5Vの出力は無負荷で、このアダプタにはフィードバック制御が無いと仮定する場合、電流を3A流すと電圧は落ちます。ただし、それが15Vまで落ちるかという議論になった場合、いろいろと疑問が生じます。

かなりざっくりで細かいことを抜きに計算すると2ΩくらいのACアダプタ内部の抵抗が無いと、3Aのときに電圧が15Vまで落ちません。この時にACアダプタが熱として消費する電力は、18W程度です。かなりの熱量で、フィが必要になると思いますが、大きなフィンは見当たりません。

実物がないので分かりませんが、負荷試験をすれば、29-168アダプタがどのような挙動を示すのかはわかると思います。負荷試験の結果は、以下の2つのいずれかになると思います。

CASE A: ACアダプタはものすごく熱くなり、3A負荷時に出力電圧は15V近くに低下する
CASE B: ACアダプタはそこそこの温かさで、3A負荷時に出力電圧は18-20V付近になっている

■2/16 追記
情報によると、負荷を掛けたら20V弱だったとのことです。正解はCASE Bです。ということで、銘板と実機が矛盾していることが言えます。


各ケースについて、細かく議論すると、ちょっと大事になるので、結論にうつります。

■結論

フジガヤさんのDCC波形を見る限り、K社のコマンドステーションは、内部に電圧変換回路(降圧チョッパ)が入っているようなので、大きめの電圧を入れてもちゃんと制御しているので、K社のコマンドステーションを使う分にはまったく問題ないはずです。

ただし、弊社の想定する仕様に不適合なACアダプタを使用する場合、正常に動くことは一切保証できません。
そもそも、秋月電子で売っているような、市販の汎用のACアダプタではなく、他社のコマンドステーションのACアダプタ(銘板はそれっぽいですが・・・)を流用する事が問題ということはご理解くださいますよう、お願いいたします。
posted by yaasan at 19:10 | Comment(0) | 鉄道模型
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