2017年02月21日

S88デコーダの使い方

S88デコーダの使い方を、今までまじめにきちんと解説したことが無かったような気がするので、説明します。

■S88デコーダとは

メルクリンが開発した在線検出器の名称で、型番からS88と呼ばれてます。S88デコーダという名前で、車両に組み込むデコーダと同じようにイメージされる方もいらっしゃいますが、意味は違っていて、単なる在線検出器の信号中継システムの名称です。

フリップフロップ回路を使ったバケツリレー方式による信号受け渡しで、回路がシンプルです。このため、安価に実現でき、サードパーティからもたくさんの機器がリリースされています。

デコーダは数珠つなぎにでき、以下のように配線して追加できます。最大で16台まで接続できますが、Desktop Stationの機器ではソフト実装の関係上、4台程度までを推奨としています。

S88wiring.png

■通信の仕組み

パルスを1回送るごとに、隣のビットデータ保管庫(いわゆるフリップフロップ)に渡す仕組みです。一番最後は、コマンドステーションの口で、パルスを渡すごとに、コマンドステーションの口にデータが入る仕組みです。たとえば、16回、パルスを出せば、16個のビットデータがコマンドステーションに入ります。

タイミングは、リセットパルスを最初に打つことで調整します。パルスの長さやタイミングは規定が決められているので、その通りに実装すれば良いだけです。

デジタル回路では、結構簡単に実装でき、S88自体にはマイコンは不要です。ただし、センサによっては、データ処理や複雑な制御などがあるので、回路だけで組むと大変なので、マイコンを結局使う事になったりもします。マイコンを使う場合には、S88の処理もソフトで実装するので、ハードとしてはかなりシンプルになります。

この説明でお分かりの通り、単純なビットデータしか渡せません。なので、Loconetのようにスロットルを使うとなると、いろいろと細工が必要ですが、この辺はもう検討済みで、フジガヤさんがS88スロットルを開発済みです。これから、いろいろなスロットルが登場すると思います。

■S88-Nとは

S88には欠点があり、その一つに配線が高価、入手性が悪い、長さのバリエーションが乏しい、取り回しがしにくいというところがありました。

そこで、S88-Nが開発されました。S88-Nとは、OpenDCC.deやTams Electronikなどが開発した、S88を汎用の8極のEthernetケーブルに流すための配線方式です。(稀に4極の古いケーブルもあります。古い機器からの使いまわしの際は、ご注意ください。)100円ショップでケーブルが売っていて入手性が非常に良いのと、差込も簡単なため、ヨーロッパでは普及しています。

DCC電子工作連合、Desktop Stationでは、S88の従来コネクタではなくS88-Nを正式に採用しています。
(変換アダプタも有償で提供はしています)

s88-n_logo.gif

■S88デコーダがあるとどんなメリットがあるか

・列車の位置が大まかに把握できる(アドレスは分からないので推定で行う)
・信号機の制御ができる
・自動運転がやりやすくなる


■S88デコーダにはどんなものがある?

検出方式によって、様々な機器がリリースされています。

・メルクリン三線式用の検知デコーダ(メルクリン純正、Viessmann, LDT, Tams他)
・フォトリフレクタによる光検知式(フジガヤ2さん)
・動力車電流検知式(Nuckyさん、他多数)
・リードスイッチ式(主に欧州メーカー)

■S88デコーダ製品

DCC電子工作連合の加盟会社がS88デコーダをリリースしています。また、海外のメーカーも機器をリリースしており、ネット販売で容易に購入できます。

・Nucky s88-N Train Detector
・フジガヤ2 S88 Detector
・Desktop Station S88ボタンデコーダ

・LDT RM-88-N (3線式用)
・Tams S88-3, S88-4

■競合規格は?

デジトラックスのLoconetが有名です。その他にもありますが、事実上、S88かLoconetが2大シェアになるでしょう。

S88はシンプルで汎用性が高く、電子工作でも容易に実現ができてしまいますし、サードパーティからいろいろな機器が出ています。Loconetは高機能ですが、ライセンス契約など制限があり、構成も複雑になり、価格もそれなりに高いです。

Desktop Stationとしては、オープンなS88を強く推奨します。クローズなLoconetは、今後も一切サポートするつもりはございません。
posted by yaasan at 08:44 | Comment(1) | 鉄道模型
この記事へのコメント
こんばんは、

わかりやすい説明、ありがとうございます。読み出したデータは、すべてデジアルがなのですね。
Posted by へのへのもへじ at 2017年02月24日 21:54
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