■S88デコーダとは
メルクリンが開発した在線検出器の名称で、型番からS88と呼ばれてます。S88デコーダという名前で、車両に組み込むデコーダと同じようにイメージされる方もいらっしゃいますが、意味は違っていて、単なる在線検出器の信号中継システムの名称です。
フリップフロップ回路を使ったバケツリレー方式による信号受け渡しで、回路がシンプルです。このため、安価に実現でき、サードパーティからもたくさんの機器がリリースされています。
デコーダは数珠つなぎにでき、以下のように配線して追加できます。最大で16台まで接続できますが、Desktop Stationの機器ではソフト実装の関係上、4台程度までを推奨としています。
■通信の仕組み
パルスを1回送るごとに、隣のビットデータ保管庫(いわゆるフリップフロップ)に渡す仕組みです。一番最後は、コマンドステーションの口で、パルスを渡すごとに、コマンドステーションの口にデータが入る仕組みです。たとえば、16回、パルスを出せば、16個のビットデータがコマンドステーションに入ります。
タイミングは、リセットパルスを最初に打つことで調整します。パルスの長さやタイミングは規定が決められているので、その通りに実装すれば良いだけです。
デジタル回路では、結構簡単に実装でき、S88自体にはマイコンは不要です。ただし、センサによっては、データ処理や複雑な制御などがあるので、回路だけで組むと大変なので、マイコンを結局使う事になったりもします。マイコンを使う場合には、S88の処理もソフトで実装するので、ハードとしてはかなりシンプルになります。
この説明でお分かりの通り、単純なビットデータしか渡せません。なので、Loconetのようにスロットルを使うとなると、いろいろと細工が必要ですが、この辺はもう検討済みで、フジガヤさんがS88スロットルを開発済みです。これから、いろいろなスロットルが登場すると思います。
■S88-Nとは
S88には欠点があり、その一つに配線が高価、入手性が悪い、長さのバリエーションが乏しい、取り回しがしにくいというところがありました。
そこで、S88-Nが開発されました。S88-Nとは、OpenDCC.deやTams Electronikなどが開発した、S88を汎用の8極のEthernetケーブルに流すための配線方式です。(稀に4極の古いケーブルもあります。古い機器からの使いまわしの際は、ご注意ください。)100円ショップでケーブルが売っていて入手性が非常に良いのと、差込も簡単なため、ヨーロッパでは普及しています。
DCC電子工作連合、Desktop Stationでは、S88の従来コネクタではなくS88-Nを正式に採用しています。
(変換アダプタも有償で提供はしています)
■S88デコーダがあるとどんなメリットがあるか
・列車の位置が大まかに把握できる(アドレスは分からないので推定で行う)
・信号機の制御ができる
・自動運転がやりやすくなる
■S88デコーダにはどんなものがある?
検出方式によって、様々な機器がリリースされています。
・メルクリン三線式用の検知デコーダ(メルクリン純正、Viessmann, LDT, Tams他)
・フォトリフレクタによる光検知式(フジガヤ2さん)
・動力車電流検知式(Nuckyさん、他多数)
・リードスイッチ式(主に欧州メーカー)
■S88デコーダ製品
DCC電子工作連合の加盟会社がS88デコーダをリリースしています。また、海外のメーカーも機器をリリースしており、ネット販売で容易に購入できます。
・Nucky s88-N Train Detector
・フジガヤ2 S88 Detector
・Desktop Station S88ボタンデコーダ
・LDT RM-88-N (3線式用)
・Tams S88-3, S88-4
■競合規格は?
デジトラックスのLoconetが有名です。その他にもありますが、事実上、S88かLoconetが2大シェアになるでしょう。
S88はシンプルで汎用性が高く、電子工作でも容易に実現ができてしまいますし、サードパーティからいろいろな機器が出ています。Loconetは高機能ですが、ライセンス契約など制限があり、構成も複雑になり、価格もそれなりに高いです。
Desktop Stationとしては、オープンなS88を強く推奨します。クローズなLoconetは、今後も一切サポートするつもりはございません。
わかりやすい説明、ありがとうございます。読み出したデータは、すべてデジアルがなのですね。