2017年03月20日

突入電流検出アダプタ

DCC特有の突入電流を簡単にサクッと測れるグッズを作りました。

必要なものは以下の通り。

・測定対象のコマンドステーションとその電源一式
・測定対象の負荷のデコーダ一式
・オシロスコープ(テスタは不可)
・本突入電流検出アダプタ

■突入電流検出アダプタの特徴

inrush_adapter1.jpg

・ワッテージの大きい0.1Ωの抵抗器を使用。
・0.1Ω選定理由は、これくらいが使う限界の抵抗値であるのと、このくらいは配線の抵抗と見なせるだろうと割り切り(真の意味での本当の突入電流値にはなりません)
・オームの法則で簡単に電流値を出せる
・KATOのフィーダのコネクタ形状にして簡単に接続できるようにした。

■使用方法

オシロスコープのプローブを、抵抗の両端に付けるだけ。
オシロスコープの測定は、シングルトリガで、立ち上がりエッジ(配線の仕方では立下りエッジ)の0.5Vで引っかかるように設定するとよいでしょう。

■実験環境

ポイントデコーダ5個をコマンドステーションにつないで、突入電流を計測。デコーダには、25V/47uFの電解コンデンサと、4.7uFのセラコンが入っています。

inrush_adapter2.jpg

■結果

inrush_adapter3.jpg

検出できた突入電流。抵抗は0.1Ωなので、オームの法則V=IRを変形して、V/R=Iとすることで電流を検出できます。ピークは、1.3Vくらいなので、0.1で割る、すなわち10を掛けると電流値になります。ということで、突入電流のピーク値は、13[A]という事が分かります。

20160224_103700.PNG

なお、定常状態(落ち着いた状態)は線路に流れる電流0.2A程度になっています。

■突入電流が引き起こす故障や問題

一番大きいのは、途中にあるデコーダ内部のダイオードの故障です。ただし、普通のダイオードだとパルス的な瞬間的な電流には、容量にもよりますが定格は大きいです。たとえば、なごでんさんのMP3デコーダのブリッジダイオードSB24Sだと8.3msのサイン波形のパルス電流で50Aまで耐えるというので、この辺は問題なしです。その他のデコーダは分かりません。

LEDが壊れるとか変なことも書いてありますが、繋ぎ方が変なことや、インダクタンスの成分がどっかにあって、LEDの両端が3Vを大幅に超えて過電圧になって壊れるとかならあるかもしれません。

コマンドステーション屋として嫌なのは、コマンドステーションのDCC波形生成のインバータ回路に負荷がかかる事です。DSmainR5は瞬間で120Aまで耐える石を使ってるので大丈夫ですが、DCC/MMシールドやDSblue等は、そんなにパワフルではないので、すぐ壊れはしませんが、負荷は掛け続けることになるので気にしています。

■ネットに出ている情報について

>さかつう模型店のDCCのヒントコーナー

このヒントについては効果は無いわけではないですが、あくまでもその場しのぎに近い解決方法です。

リレーラーで後からおいても、車両内のコンデンサが空なら、置いた直後に突入電流が発生します。突入電流という視点から言うと、最初からおこうが後からおこうが、突入電流という観点だけで見ると効果がありません。

ただし、突入電流は空のコンデンサが同時にたくさんあるとピークも大きくなる傾向なので、コマンドステーションの出力回路が貧弱な場合、大量の車両を置くと起動に失敗するケースや、回路に負担をかけるケースを少しでも緩和させる、という事には効果があります。

KEN's RAILROAD DCCと突入電流の正しい知識。

デ〇トラックス社の情報という事で掲載されてます。一点を除いて、書かれている内容は正しいです。

電解コンデンサとセラコン(ほかにもコンデンサの種類はたくさんありますが、たいていのDCCデコーダに使うのはこの2つでしょう)の違いをちょっと勘違いされているようです。

デコーダは、絶対にコンデンサが必要です。この記事の中で書かれているのは、大容量にしやすい電解コンデンサの有無についてのみ触れているのだと思います。たしかに容量が大きければ、充電するために電流が大量に流れるので、電解コンデンサを無くせば、突入電流は流れにくいです。ただし、コンデンサなしでは正しくマイコンを動かすのは難しいというか無理です。また電圧を落とす部品を使用するので、コンデンサは必須になります。
電解コンデンサがあってもなくても、必ず通常はセラミックコンデンサ(セラコン)を使います。

セラコンは、電解コンデンサに比べて充放電特性が良いです。良いという事は、電流がよく流れるという事です。突入電流も同じです。セラコンを使っても、より特性は良いので、設計で注意しないと電解コンデンサと同じ事になります。経験則的に、10uFのセラコンをブリッジダイオードの直後に付けると、あっさり突入電流は6Aを超えます。

デジトラックス社のデコーダは、どう見ても10uFも付けてないと思うので問題ないと思いますが、あくまでも参考として、どこの会社も同じだ、とは考えない方がよいと思います。

コンデンサをたくさんつけても、Keep Aliveコンデンサ回路を入れれば突入電流は劇的に減るので、基本的には、この回路をデコーダが標準的に具備することが重要だと思います。

■結論

じゃあ、DCCユーザーとしてはどうすればいいのか、というと、自分でコンデンサを勝手にたくさん足すときは、Keep Aliveコンデンサ回路を入れて、充電をなだらかにする仕組みをきちんと行うことです。

またコマンドステーションは、置く車両数に応じて、十分、大きい容量の機種を選定することが重要です。

また集電不良でもコンデンサが空になれば突入電流が発生します。線路と車輪を常にきれいにするのが一番です。汚い線路や車輪のままにすると、どんどん汚れがひどくなります。電流がたくさん流れると、その時に空気中の埃が焦げてくっついき汚れていくためです。

コンデンサよりも、全車集電や車両を重くする、メルクリンのCTrackのような集電に強いシステムを使うなど、いろいろ対応策はありますので、どれが自分に最適かを考えてみるとよいと思います。
posted by yaasan at 10:04 | Comment(0) | 鉄道模型
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