2017年10月13日

ポイントマシンの仕組みとスペック

ソレノイド型ポイントマシンを、きちんと仕組みから理解されていますでしょうか。デコーダを繋げれば普通に動くのは、そのポイントマシンを作ったメーカーが作った機器のみです。もしくは、サードパーティが動作を保証したもののみです。

保証されたものでない場合は、自分で調整をする必要があります。特に、コマンドステーションは機器ごとに使用する電圧が異なるので、調整もコマンドステーションに合わせて行う必要があります。これが、DCCの一番のややこしいところで、皆様を困らせる原因になっています。

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ポイントに使われるコイル(ソレノイド)は、ただのエナメル線(銅線に絶縁物のエナメル塗料を塗った線のこと)をグルグル巻きしたコイルです。中に鉄芯が入っていて、磁気エネルギー密度を高めるようにしています。このコイルの電線の長さが太くて短ければ抵抗分が少ないので、電流がよく流れます。長くて線が細ければ、抵抗分は大きくなるので電流は流れにくくなります。

Solenoid_coil.png

デコーダは上の図でいうところの乾電池の役割をします。この乾電池に相当する電圧を調整することが重要になります。

手作りモータを作るとよく分かるのですが、電気エネルギーが運動エネルギーに変換されない場合、電気エネルギーは熱に変換されます。ようは、きちんと動くように電圧を調整しないと、きちんと動かないのです。
運動エネルギーに変換されないケースで、熱になる量は、I×I×Rで計算できます。電流が流れるほど発熱してしまうので、きちんと運動エネルギーに変換されるように調整しなければなりません。この設計は、通常、鉄道模型メーカーが行っています。

DCCデコーダは、この調整をメーカーに代わって考えて自分でやらなければならないことを意識してください。このため、DCC電子工作連合の機器類は、いろいろな機器で動かせるように調整できるようにしています。もし分からない場合は、調整値を検索したり、DesktopStationForum等で確認するなどするなどの対応策があります。

全部対応できる最強のデコーダは無いのか、という質問については、残念ながら、Tomix、KATOなどで、全部、コイルの長さや太さはバラバラなので一つの調整だけでカバーすることは不可能です。KATOの場合は、セメント抵抗を置いて調整しているポイントマシンもあれば、何も入っていないマシンもあります。

何も考えずにつなげてもポイントデコーダなるものは必ず動く、ということを考えは誤りということを意識していただきたいと思います。DCCが難しいのではなく、きちんと体系化されていない、ポイントマシンごとに調整された専用デコーダを作らないことが良くない原因なのかもしれません。

私もすべてをそろえたいところですが、限られた予算や時間の中で行うには限界があります。皆様の情報が、重要となります。動かなかった、動いた、テスタで抵抗値を調べたら何Ωだった、という情報を、DesktopStationForumにぜひとも投稿し、開発に協力ください。

■追記

KATO #2-503ポイントマシンは、例外中の例外で抵抗値が想定よりも非常に低いので、本当に要注意です。容量の低いデコーダ(max 1A程度のもの)で未調整(Duty100%)ですと、1撃でモータドライバICが壊れます。
posted by yaasan at 19:43 | Comment(4) | 鉄道模型
この記事へのコメント
電気知識がまったくないため、今の今まで動けばOKと言う気持ちでやってました。
海外の人を参考に同じ物を揃えてきたので大丈夫だったのかもしれません。
今の所壊れたソレノイド型のポイントマシンはないのですが、今後注意してみたいと思います。

質問なのですが具体的にポイントマシン側の抵抗はどこを見ればよろしいでしょうか?
出ている線が3本の場合や2本の場合で違いますか?それともそもそもバラさないと測れませんか?
またポイント用デコーダ側の何かしらを測る事で破壊するかしないかを予測する事は可能でしょうか?
測り方が分かれば自分の持っているものをとりあえず測ってフォーラムへ投稿しようと思います。

このYaasanさんの警告を読むと気軽にDCCは勧められませんね。
とくにKATOのHOポイントマシンで壊れると言うのは知りませんでした。
Posted by Nardi at 2017年10月13日 22:46
ポイントマシンから普通は線が出てますが、その線で測ってもらえればOKです。基本的にはデコーダが動作を確認したものを、指定された設定で使うという事が必要になります。

KATOのポイントマシンは比較的、未調整で普通に動いていたのですが、#2−503だけは唯一、未確認だったのですが、これだけ例外でした。

DSturnoutは、設定値と対応していると確認した(100回動かして問題ない)ものを掲載していますので、そこをご確認いただければと思います。

DCCが難しいというより、今までの鉄道模型のポイントマシンが、一切何も考慮してこなかったというのが個人的な感想です・・・。
Posted by Yaasan at 2017年10月14日 06:37
すみませんDSturnoutの事だったんですね。他のデコーダも含めての話かと思っていました。
Lenz、DCC Concpets、ESUのポイント用デコーダのマニュアルを見ても特にDutyと言う設定はなく、ESUのみDuration制限をデコーダ側でかけられるくらいでしょうか。
購入したDSturnoutはKATOのポイントだけで使用する予定なので動作確認済の設定で使ってみます。
Posted by Nardi at 2017年10月14日 15:30
DSturnoutは、ほかのポイントデコーダと大きく違うのがDuty機能です。出力電圧を調整できるところです。
スローモーションマシンのスピード調整用のためなのですが、#2−503のような変なソレノイドを動かすときにも応用可能になってます。
Posted by Yaasan at 2017年10月15日 08:06
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