V=I×R :電圧[V]は、電流[A]と抵抗[Ω]を掛けたものである
例: 抵抗が10Ωあり、電流が2A流れている。抵抗の両端にかかる電圧は? 2A×10Ω=20V。
なんで、こんなにつまらんことになっているかと言うと、シンプルすぎるのと、いろいろな現象をたったこの式で表してるので、説明しきれないことが原因です。
この式を変形すると、いろいろなことに使えます。以下、オームの法則の使い方です。
■ショートの現象が数値で分かる
ショートとは、まあ、皆さんご存知の通り、+と−をくっつけたらスパークする現象ですよね。これをオームの法則で書くと、見事に表現できます。
くっつけるとは、抵抗なし(R=0)という意味と同じになります。逆に、くっつけないとは、非常に大きな抵抗(R=∞)という意味になります。
I=V/R=5/0=∞[A]
電流が無限大流れます。実は、微弱な抵抗成分があるのと、電力会社も無限には電流を流してくれないので、R=0.001Ωとか(値は適当ですが、抵抗が非常に小さいという意味)で表現されることになります。
I=V/R=5/0.001=5000A
5000アンペアです。で、このエネルギー量はどれだけすごいのかは、ジュール熱の式(新たな式を出してすみません)に入れるとよくわかります。
P=I×I×R=5000×5000×0.001=25000[W]
5Vの細い線なのに、何か凄い熱エネルギーになるわけです。ショートしないようにしましょうね。
■LEDを光らせる抵抗値を決める
LEDは、だいたい3mAから5mA流せばそこそこ光ります。5Vを流しているなら、抵抗値はどうすればいいかと言えば、以下のように計算できます。
R=V/I=5V/5mA=5V/0.005A=1000Ω。
実はこの計算、NGです。LEDはダイオードという半導体部品で、電圧を食ってしまう特性があります。どれくらい食ってしまうかはVf(電圧降下)という数字が必ず書いてあるので、これを見て計算式に入れてやります。

LEDによってコロコロ変わりますが、いわゆる青色発光ダイオード系はVfは大きいです(白色LEDも青色に蛍光塗料塗っただけです)。逆に何十年も前からある赤色や黄緑色は、Vfは1.6Vとか低いケースが多いです。
で、計算式に入れるときは、5Vから引いてやるように入れます。
R=(V-Vf)/I=(5-3.1)/0.005=2.9/0.005=580Ω→560Ω(入手性の良いE12系列で一番近い抵抗値)
■電圧計で電流を測る
オシロスコープは、標準のプローブを使うと電圧計となります。電流プローブは高いので持っていない人がほとんどだと思います。この手法は、突入電流を測るときに使うときに使えます。
I=V/R
Rを、たとえば0.1Ωとすれば、
I=V/0.1=10×V
となりますので、見えた電圧の10倍をすると、電流になります。
まあ、実は0.1Ω分、全体の回路としては抵抗が大きくなるので電流値にズレが出ます。0.1Ωでは影響が大きいような低抵抗回路の場合には、0.01Ωとか小さい抵抗を選ぶとよいです。DCCの用途では、0.1Ωで問題は無いと思います。
■電源を混ぜたらダメな理由が分かる
ショートとほとんど同じ話です。たとえば、乾電池に例えると、新品は1.5Vですが、古くなると電圧は落ちます。1.2Vとかですね。

何が起こるかと言えば、2つの現象が起きます。
@100Ω抵抗に電流が流れる
V=IR, 1.5=I×100, I=15mA。
A1.2Vの乾電池に電流が流れ込む
V=IR, I=V/R=(1.5-1.3)/0=0.2/0=∞A
実は、乾電池には内部抵抗がそこそこあって、一気にショートしません。0.1Ωとすると、以下のようになります。
I=V/R=(1.5-1.3)/0.1=0.2/0.1=2A
乾電池で2Aは、かなりの量です。普通、数十〜かなり多くて100mAとか用に使いますからね。
と言う事で、危ないので電源はまぜこぜで使わないようにしましょう。どうしても使う場合にはダイオードOR回路を使いましょう。
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オームの法則を使いこなして、DCCと電子工作を楽しみましょう。