□結果
・USBハブから潤沢な電源供給を行ったところ、正常にFlashAir W-04のアップデートが行われることを確認。
・ただし、バージョン確認が何故か3回発生。(VAIO Pro13のSDカードスロットでは発生せず)
□構成
パソコンは、問題が起きたWU2/B1で、内蔵SDスロットは使用しません。外部に電源供給可能なUSBハブ iBUFFALO BSH7AE03を使用し、500mA(0.5A)を供給できるようにしました。メモリカードリーダは、ELECOMのMR-A012です。

DVDドライブを事前に繋げて、電流を確実に0.5A流せることを確認済みです。

□消費電流
USB電圧電流計 KCX-017で測定した限りでは以下の通りでした。
アップデート準備 0.17-0.19A
アップデート準備完了直後 0.23A(max)
アップデート中 0.08-0.13A
バージョン確認1〜2回目 0.09A
バージョン確認3回目 0.15-0.17A
上記から言えることは、トラブルになっていたアップデート作業自体は電流はそれほど大きい値は観測されていません。ただし、かなりサンプリング周期はかなり荒いので、取りこぼしているだけも可能性としてありますが、傾向としては電流自体はそれほど全体として大きくは無いといえると思います。
□なんでこうなった?
F士通は、SDカードカードスロットのコスト低減で、USB周りの電源に手を付けたのだと思います。一方、T芝さんは、FlashAirの高速化や省電力化の両立、かなりのアクロバティックな動作をFlashAir W-04で採用したのだと思います。
F士通さんの名誉のために言うと、FlashAir W-03やその他のSDカード、たとえばT芝、SANDISK、transcend、Kingstonなどいろいろ差し込んでますがトラブったことは一度もありません。トラブルが起きるのはW-04だけです。
□まとめ
・F士通LIFEBOOK WU2/B1またはその兄弟機UHシリーズの内蔵SDカードスロットを使用して、FlashAir W-04をアップデートすると国内正規品であろうと廉価輸入品であってもアップデートに失敗する大きなリスクがある。なお、他のメーカーでも似たような症状が出る可能性は十分にありますので要注意です。
なお、ドライバ名は「BayHubTech/O2Micro Integrated MMC/SD controller」で、LenovoやT芝さんも含め、よく使われているモノみたいです。ハードも同じか、電源供給も同じかどうか分かりませんが。
・同じPCでも、内蔵SDスロットでは無く、外部にUSBメモリカードリーダを使って、さらにACアダプタ付きのUSBハブで電源補強すると正常にアップデートできました。よって、原因はSDカードスロットの電源の強さとみて良いと考えられます。
・なお、FlashAir W-03の通常のPCでの消費電流は0.15-0.17Aなので、そんなにW-04と大きく違うわけでは無いように見えます。USB電源にかかる負荷としては、マクロ的に見えればそんなに差異はなさそうですが、ちゃんとした測定器でないと見えないミクロの部分でファームウェアアップデートの動きがW-03とW-04ではだいぶ違うのかもしれない。ブラックボックスなのでよく分かりませんが。
ご参考:
・iMac27inch(年は不明)では正常にアップデートできるようです。
・VAIO Pro13 (2014)では、正常にアップデートできました。他のVAIOは分かりません。
□今後について
確実にW-04をアップデートする手段はUSBハブで電源補強というのは分かったので、FlashAirのアプリ&DSair開発再開も考えてます。ただ、壊れたW-04輸入版2枚は非常に悔しい。このまま素直に再開して良いものか、悩み中です。
実は当方もW-04を使い始めてから手持ちのカードリーダーの挙動が不安定になり、FlashAir単体に対してオシロで電流測定を行ったことがあります。
測定の結果は、平均電流は03より04の方が低いが、高負荷時の瞬時電流は04の方が大きい(300mA近い)というものでした。
もちろん、SDカード規格の最大消費電流よりは100mAほど余裕があるのですが、一般的に使われるSDカードに比べると6倍近い値です。
ここのカードリーダー自体の電流値も加わるので、USBの供給能力の限界に近い可能性はあります。
加えて、特殊品ゆえにカードリーダー製造側での検証もあまりされていないのかなとも思いました。
http://seesaawiki.jp/flashair-dev/d/%c5%c5%b5%a4%c5%aa%c6%c3%c0%ad
SDカードは3.3V駆動なので、USBの5Vからレギュレータで降圧する際の電流ロスも考慮する必要があると思います。瞬間的に300mAまで上がるとすると、そこそこ大きいコンデンサ(=電解コンデンサ)を3.3Vの電源ラインに積んでいるか積んでないかだけでも、大きく挙動に差異が出るような気がします。
SDやUSB規格上も、瞬間的な電流の放出の特性までは、規定していないかもしれませんし・・・(Specificationを持ってないので実際のところは分かりませんが)。
W-04は、かなり気を遣ってメモリカードリーダも、実際に使う側もマージンを多めにとって電気設計しないといけないのは間違いないと思います。コンデンサ、LDOの容量は0.5A以上を考慮して設計する感じでしょうね。5Vと3.3Vが混在するケースは、もう少々ややこしい設計になりそうです。