2018年05月17日

KATO スマートコントローラをTearDown

KATOスマートコントローラ (22-019)を早速、分解してみました。私は分解・解析以外でレビューする気は無いので、ごく普通のレビューをご希望の方は、Nardiさんが投稿してます。

購入価格は、ジョーシン(Web通販)で11000円少々です。

SmartController_box1.jpg

SmartController_box2.jpg

SmartController_box3.jpg

お断り:
分解すると、サポート・保証がなくなり、故障や問題が発生してもサービスを受けられなくなります。当ブログは、サポート・保証・サービスを受ける権利を全て放棄した上で分解しております。メーカーの手厚いサポートを希望される方は、絶対に真似をしないでください。

■基板写真

基板・表面:
SmartController_TearDown_PCB.jpg

基板・裏面:
SmartController_TearDown_PCB2.jpg

■回路ブロック分析

大まかに、以下のブロックに分かれていると推定されます。

・線路への出力回路ブロック
・出力フィルタ部(ノイズキャンセラ)
・サウンドボックスとの通信用回路
・電源回路(3.3V、5V)

■部品や動作からの分析

・BLEモジュール

SMKのBTS01-C2を使用。他にマイコンが居ないようなので、BTS01-00(ブランクモジュール)を使って、上位アプリを実装していると思われます。
ちなみに、このモジュールの心臓部は、NORDICのCortexM0マイコンであるnRF51822(FLASH 256KB, RAM 32KB)です。MicroBitと同じです。つまり、同じ事は、Microbitでも出来る、ということです。

・キャリア周期 32kHz(仕様) → (波形からの結果)

ACアダプタの内径が2.5mmなので、うちに適切なアダプタが無い(汗
変換コネクタもあったはずですが、探し中です。

・マイコン

見当たりません。ので、SMKのBLEモジュール内蔵のMCU機能(上位アプリケーションの開放部、実質的にNordicのARMマイコン)を使っていることで確定と思います。

・レギュレータ
ロームのBD433M2, 3.3V 200mA LDO, SOT223-4を使っています。電解コンデンサは、ACアダプタ側が35V耐圧、3.3V側が10V耐圧なので、全く問題ありません。

・出力容量 2A(仕様) → ピーク , 連続(回路部品からの結果)

ローム SH8M13 Pch+Nch MOS-FETを使用。典型的なPWM回路です。ON抵抗は、トータルで0.1Ωなので、2A流しても発熱は特に心配ないでしょう。実力としては、もっと出せると思います。

なお、Pch-Nchの組み合わせ回路なので、前段にトランジスタを置かないといけないこと、4V駆動型MOS-FETなので、3.3V出力をレベルシフトする回路があると推定します。まあ、部品が増えるので自分は安易に統合型IC(TB6643KQやBD6231F-E2)を使うのがいつもなのですが、よく頑張ったなあと思います。

・サウンドボックス(SOTONAMI)との接続

直近にRohm E120ATがありますが、これはSOTONAMIから電源をもらう?用のパワースイッチとして使ってるみたいです。なので、通信とは関係なし。

マイコンの横あたりの抵抗やトランジスタの固まりの回路が、どうも通信用の回路っぽいです。ケーブルは3極で、GND、オープン、信号線?の3つっぽいです。もしかすると1線式の双方向通信です。私は懐石は、やる気は一切ありません。SOTONAMIを解析したい奇特な方がやればよろしいです。普通にECONAMIかTSUNAMI買った方が良いですし。

・安全・保護部品

いくつか気になる部品があります。D1,D4です。ACアダプタの+側の電位で、スイッチの二次側になります。
ここと、PWM生成回路の間にD4、LDOとの間にD1があります。
なんでこんなところにダイオードを入れているのか?と思うと、まあ、ぱっと思いつくのは出力のインダクタンス(長い電線の成分、いわゆるバネ定数)のせいで電圧が上がって逆流するのを防ぐため?と思いました。

ただ、それをするなら、まずはCスナバコンデンサ(=パスコン)をQ6,Q7のドレインソース間に最接近しておくべきです。ただ、パスコンっぽいコンデンサがそばに無いんですよね・・・。

あと、なるべく電解コンデンサもQ6,Q7の近くに置くべきです。出力側で電流を消費しすぎたら、それを補わないといけないためです。ただ、ショートした時を考えてるのか、もしくは所詮、アナログ車両なので多少の電圧降下なんて気にならないという解釈をしているのかも知れません。アナログならそれで良いですが、DCCならダメです。

あと、ノイズキャンセラに相当するのが、でかいコイル(326uH, 120Hz実測)と、あとC9、R21、R22かなと思います。コイルの定数がかなりデカすぎると思いますが、なんでこの定数にしたんだろ?フィルタ用のコンデンサをあんまり大きくしたくなかった?だからダンピング抵抗をコンデンサに直列に入れてる?

■部品コスト計算

予想よりも意外と部品数が多くてびっくり。でも、安い受動部品ばっかりなので、積算するとBLEモジュールモジュールが一番高くてワンコイン、その次にコイル、あとMOS-FET、という感じでしょうか。コネクタ類もそこそこしますので、ぱっと見、電気屋の直感では、5000台製造で、1500〜2000円の基板の材料費って感じがします。

■出力PWM波形

使った電源が、富士通PC用(FlashAirクラッシャー)の19Vなので、誤作動しているかもしれないですが
以下のような波形です。ちなみに、19V入れても壊れないと部品調査で分かって確信犯でやってますの、よい子の皆さんは絶対にまねしないでください。

波形を見る限り、BEMFを取得していると思われる周期的な無電圧区間があります。あと、LCフィルタ(=ノイズキャンセラ)がうまく効いてないですね・・・。どう考えても並列に入れるコンデンサが足りないからですが。つまりは、コンデンサを入れると、BEMFの取得が上手く出来なくなるので、代わりにコイルを普通よりも数倍、大きくしたわけですね・・・。

以下の波形で、実質の電圧は、パルスの下にMeanという文字があると思いますが、その横に書いてある電圧が、この波形から出ている平均電圧になります。

速度指令0%:
201805_duty0.png

速度指令10%(19V中、5V近く出ている。始動電圧を足し込んでいる思われる):
201805_duty10.png

速度指令25%:
201805_duty25.png

速度指令50%:
201805_duty50.png

速度指令75%:
201805_duty75.png

速度指令100%:
201805_duty100.png

前に私が作った出力フィルタの記事はこちら

■通信線の信号チェック

よく分からないですが、定期的にパルスは出てます。パケット長さは5ms弱。間隔は見ていない。

201805_soundbox_sig1.png

パルス幅は1周期52us程度。

201805_soundbox_sig2.png

■まとめ

部品点数が結構多い気がするので、もっとシュリンクして低コスト化できると思います。あと、ロームは最安の部品では無いですし、コンパチの部品はいくらでもあるので、そんなにロームにこだわる必要は無いと思います。
posted by yaasan at 07:23 | Comment(2) | 鉄道模型
この記事へのコメント
D1は通信系の電源を守るため
12v系のノイズや負荷変動しても大丈夫なようにと思ったけど出力はPWMでFET通すから
あまり関係ないですかね
12v から直で3.3vにしてるけど入力電圧が高いと壊れるかなぁ(サポート外とは思うけど)

やたらビアが多いのですがノイズ対策ですかね。

良いもの見れました
ありがとうございます。
Posted by なごでん at 2018年05月17日 20:55
コメントありがとうございます。

12V->3.3Vですが、3倍のマージン(最大絶対定格42V)取ってるので問題ないですね。19V付けても、問題はなさそうです(LDOの発熱は結構ありましたが)

ノイズも、電解コンデンサを置いてるので、そんなに影響は無さそうです。逆にFETにパスコン付けてないので、スイッチング時の12Vラインの電源が揺れるはずで、本来はそっちが最優先ですね。

ビアも、ちょっとやり過ぎ感があります。熱を逃がすって感じでも無いので、なんでこうなったのか不思議です。
Posted by Yaasan at 2018年05月17日 22:29
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