たしかにデコーダーを燃やしたのは手痛いけれど、やってしまったものは仕方ない!おめーは失敗したこと無いのに理由を教えろなんて虫がいいな!を回避する手段として使ったるw 転んでもタダじゃ起きないぞw
— kuma (@trta01) 2018年5月21日
デコーダを燃やした原因を知りたい、というkumaさんの叫びを見たので、システムFMEAで簡易的に故障解析をやってみようと思います。たとえば、以下は典型的なサウンドデコーダのブロック図です。

まず、故障条件を以下のように決めました。これで、上記のブロックにおける故障パターンは1/4になりました。
・ショートは1本だけとする(複数本の同時ショートは考えない)
・オープン故障も無視する(DCCデコーダの場合には動かないだけなので)
・過電圧、過電流はとりあえず無視する(部品の性能にも依るので)
ではやっていきます。
(1) TRK1,2に、MOTOR1,2の線がショート→MOTOR1,2の内部が故障
(2) TRK1,2に、FL1,2,3の線がショート→FL1,2,3の内部が故障
(3) TRK1,2に、SPK1,2の線がショート→SPK1,2の内部が故障
(4) MOTOR1,2にFL1,2,3の線がショート→FL1,2,3 or MOTOR1,2の内部が故障
(5) MOTOR1,2にSPK1,2の線がショート→SPK1,2 or MOTOR1,2の内部が故障
(6) SPK1,2にFL1,2,3の線がショート→FL1,2,3 or SPK1,2の内部が故障
(7) MOTOR1,2の両信号がショート→保護機能あり:セーフの場合アリ、なし:故障
(8) SPK1,2の両信号がショート→保護機能あり:セーフの場合アリ、なし:故障
(9) FL1,2,3の両信号がショート→故障する
(10) TRK1,2の両信号がショート→コマンドステーション側が保護機能動作、ショート箇所が焦げるため、ショートの場所がデコーダ内部だったらデコーダは故障。
※上記はざっくりシステムFMEAです。本当は、基板の全部品のオープン、ショート、発振の故障を解析します。
上記を見れば、たいていのケースで、特定箇所が壊れる(可能性がある)ことが分かります。特に言えば、出力に入力電源(=線路)をいれると壊れます。テーマパークの大行列アトラクションで、警備員さんがうっかり、行列の流れを出口につないでしまい、出口からたくさんの人が入ったら、アトラクションの運営がパンクするのと一緒です。

何で壊れるのかというと、出力回路が、たいてい、GNDやVCC(5Vや12V)に間接的に繋がっていたりするので、ショートの電流が流れるからです。で、半導体内部の回路パターンは、ショートの電流・発熱に耐えきれないのでパターンを焼いて、終了というわけです。
なお、出力が2本ある場合に、これがショートしても耐えられるデコーダもあります(ワンコイン、スマイルデコーダ、MP3デコーダなど、モータ制御ICを使っている場合)。ただし、デジトラックスのデコーダでいうと、出力保護機能が付いてない単純なMOS出力なので、出力をショートさせれば壊れます。5V電源もツェナーダイオードでかなり省略しているケースもあります。デジトラックス以外のメーカーはよく分かりませんが、中国のDCCデコーダメーカーLaisdccもデジトラックスに近い思想なように思います。
保護機能付ける・付けないは、各社の設計指針や経営判断(コスト重視or耐久性重視)があるので、良い悪いは判断できませんが、メーカーによっては割り切っているケースもあるのは事実です。
連合では、部品点数を減らす事や過去のトラウマで壊れるのはイヤだ、ということで、コストは数倍上がりますが、保護機能の付いた部品を随所に使ってます。もちろん、それでも防げない故障パターンは多いですが、無いよりは良いと考えてます。
対策は、配線ミスをいかに防ぐかという点しかありません。会社のKYK(危険予知活動)とかと一緒で、いかにポカミスを防ぐか、しかありません。
・テスタで、取り付けた後は、配線、ピンにショートしていないか入念にチェックする
・第三者がチェック(ダブルチェック)
・出力を絞ってテストする(電流安定化電源とか、コマンドステーションの電流制限。DSmainには1A単位の電流制限機能が搭載済)
Nゲージで細かな作業が多いのと、日本ではコネクタを標準搭載してないケースが多いので、これがデコーダの焼損事故が増えやすい原因になってるんじゃないでしょうか。
なお、私は配線の絶縁には熱収縮チューブをいろんなサイズでたくさん買って使ってます。便利なので、みなさんも買っておいた方が良いです。100円ショップにも売ってますし、秋月にもあります。山ほど欲しい人は、aliexpressでどうぞ。

他の部品のついでにAliexpressで買いましたが、これだけ入ってて5.3USD。
プラ車両は、こういうことがおきないので気が楽です。
サウンドトラックスは、デコーダー焼いても、半年以内なら無償交換、それ以降も定価の半値ぐらいで有償交換してくれますが、送料はこちら持ちなので安くはないですね。故障品送って有償交換してもらうくらいなら、ディスカウント模型店で新品買ったほうが安いぐらいです。