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2018年08月26日

カトーのノイズキャンセラーを買ってみた

昨日、ホビセンに行ったので、ノイズキャンセラーを買ってみました。

この部品は、サウンドボックス(SOUNDTRAXXのTSUNAMIデコーダのOEM)のPWM出力の高周波成分を落とすことで、アナログ車両もスムーズに動かすことを目的にしています。PWMノイズの影響を受ける(?)車両に最適とのことです。

なんと、中身は、リアクトル、0.1uFっぽいコンデンサ、24Ω抵抗のみの超シンプル回路でした。これで3000円です。うらやましい原価率です。

KATO_NoiseCanceler3.jpg

KATO_NoiseCanceler4.jpg

KATO_NoiseCanceler5.jpg

とりあえず言いたいことはたくさんありますが、電機屋では業界で必須のシミュレーションツールであるPSIMを使って、電気回路シミュレーションしてみました。

シミュレーション回路:
KATO_NoiseCanceler6.png

時間軸:

KATO_NoiseCanceler1.png

周波数軸:

KATO_NoiseCanceler2.png

いわゆる、RLC並列共振回路。下手な定数を決めると、ノイズキャンセルどころか、発振してノイズを出しまくりのとんでもない回路です。並列のCにダンピング抵抗24Ωを挿入して、共振点をずらしてごまかし使っているのかな、と思います。

この波形、KATOスマートコントローラ(Bluetoothパワーパック)の実波形と傾向としては同じなので、シミュレーションはほぼ整合していると思ってます。

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■以下、電機屋さんの難しい話。

PWMに含まれるノイズは、基本波(模型の場合は0Hzの直流成分)、その他に高周波成分となるキャリア周波数と、それに比例する高周波ノイズが含まれます。

これを除去するには通常、キャリア周波数を十分上げた上で、LCフィルタ回路を使用します。その名の通り、コイル(L、インダクタ、リアクトル)と、コンデンサ(C)を途中に挿入します。コイルの容量(ヘンリー, [H])、コンデンサの容量(キャパシタンス, [F])を決めるには、どの周波数成分が含まれるか想定して、決定します。

KATOやTOMIXは、おおよそ20-35kHzの間にPWMキャリア周波数を持つ場合が多いので(DCCデコーダも同様)、LCフィルタもそのように設計していきます。

ただ、このKATOのノイズキャンセラは、LCフィルタを使わずに、Lと並列にいわゆるスナバ回路的なものを付加しています。たしかに、波形は鈍りますが、LCフィルタと比べるとノイズをキャンセルための大きな効果はありません。

シミュレーション結果を見ての通り、波形を正弦波に微妙に近づけていますが、平滑化の効果は全くありません。

この回路を見ると、「サウンドボックス(SOUNDTRAXXのTSUNAMIデコーダ)に搭載されているBEMFに影響を与えないように、効果を微妙にしたノイズ抑制の回路設計を行った」と推定できます。

※BEMFは、モータの逆起電圧(BackEMF)を検出して、車両の速度を推定し、登板線路の速度を一定にしたり、下り坂もスピードを早くしないようにする、重連時に速度を安定させるなどの用途に使うDCCデコーダに標準的に搭載された機能のことです。

BEMFを無視すれば、コンデンサを入れて平滑化して、確実にピュアなアナログ波形を作る事はコストも数十円レベルのアップで済み、ほとんど掛からず、容易です。

サウンドボックス(TSUNAMIデコーダのBEMF)に対応させるために中途半端なノイズキャンセラを作った、というのが率直な電機屋として見た感想です。
実は、そのままLCフィルタをBEMFに影響を与えないようにフィルタ設計すると、共振点が当たって酷い目に遭うので、非常に設計が難しいです。なので、こんな中途半端な回路にしたのだろうと考えます。

このノイズキャンセラは3000円です。こんなもの、DCCデコーダを車両に搭載している人には全く無用の長物です。KATOの方針は、アナログもDCCもと言うことなのだと思いますが、二兎追う者、一兎も得ず、ということわざが思い浮かびます。

アナログを中心にやっていれば食っていける、などと鉄道模型メーカーが思っているのだなと思うと、本当に悲しいです。鉄道模型をもっとレベルアップすることを考えて頂きたい。
posted by yaasan at 20:18 | Comment(0) | 鉄道模型
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