2013年09月08日

UDOOを仮予約(Pre-Order)してみた

UDOOという、ArduinoボードとLinux(Android)ボードのニコイチボードを注文してみた。

KickStarterでは結構有名なプロジェクトのようですが、情報としてはあまり多くありません。ニコイチをするというのはなかなか面白いアプローチではありますし、応用例がいくつか思いつくので注文しました。129ドル+日本への送料25ドルで合計154ドルです。

大きな特徴は、Freescaleのi.MX6のアプリケーションプロセッサ機能と、Arduino DUEの機能の両方が1枚基板に乗っかっていることでしょう。マイコン間はSPIでつながっているので、ホントにニコイチです。

この基板のニコイチという特徴が、どう今までと違うのかを説明するには、プロセッサの種類とその特徴を説明しないといけないでしょう。

マイコンといっても、CortexA8やA9などのアプリケーションプロセッサとCortexM3やR3,AVR,PICなどのリアルタイムプロセッサの2種類があり、前者はLinuxやAndroid、RTOSなどのOSをインストールして、その上にアプリや機能を実装するのが一般的です。いわゆるパソコンに近いものですが、パソコンはさらに応答性は悪かったり、細かいことができないので、パソコンとリアルタイムプロセッサの中間的な位置となります。応答性のオーダーはms以上を想定することとなります。
それに対して、リアルタイムプロセッサは、ピーク性能やメモリ量はそれほど高くありませんが応答性が速くなるように作られているので、タイマ割り込み等を駆使することでusオーダーでの制御ができます。これによって、モーターを回したりセンサを使ったり、パルスを作って鉄道模型の制御(DCC信号など)を作ったりなどなどしているわけです。

実は両極端で、今までもラズベリーパイのようなアプリケーションプロセッサ系と、Arduinoに代表されるリアルタイムプロセッサ系で、ラピッド開発のプラットフォームは棲み分けができていました。

アプリケーションプロセッサ系のプラットフォームは、Raspberry Pi, Cubieboard, Pandaboard, BeagleBoneとたくさんありますが、UDOOとの違いは、UDOOに搭載されたi.MX6のマイコン性能が数段上というところでしょう。クアドコアでCortexA9なので、相当にパワフルです。Wifi, LVDS/hdmi, USB, SATA, RJ45, MicroSD, ヘッドフォン端子が出ています。完全に一昔前のパソコンレベルです。OSやアプリはMicroSDでブートなので微妙に遅そうですが、SATAがあるので何とかなるかもしれません。

従来だとCortexA8やそれ以前のARMアーキテクチャでLinuxもギリギリ動くというレベルでありましたので、UDOOの性能(Cortex A9×4コア+1GB RAM)がスペックどおりに動くのであれば、難なくOSもアプリも動いてしまいます。

これにArduinoの機能も動かせるということは、リアルタイムプロセッサによるハードウェアの制御も可能となり、応用範囲が劇的に広がるというわけです。従来ですと、AVRやその他のマイコンを外付けにして、ハードウェアの制御などを実現していたはずです。それが不要もしくはシールドで拡張することになるので、ソフトウェア開発者にとっては機器製作のハードルが一気に下がって作りやすくなるわけです。

UDOOのwikiを見ると、なんとピンヘッダの中にCAN(FLEXCAN)も入ってます。回路図がまだ出ていないのでなんともいえませんが、トランシーバICも入っていれば、線をつなぐだけでCANに対応できます。これらはi.MX側とArduino DUE側の両方からいじれるとあります。ということは、CAN BUS Shield無しで60118が操作できるわけです。ソフトもCANドライバさえあれば、数日で対応可能です。ここは、フォーラムに質問して聞こうと思います。
S88機能も、Arduino部分で実現可能なので、今までのソフト資産をそのまま使えます。

以上の通り、メルクリン鉄道模型のコマンドステーションのボードとしては、要求仕様は満たしているといえるでしょう。というか有り余るくらいです。

このボードをUSBでパソコンにつなぐだけではもったいなさ過ぎるので、どのように差別化するかがポイントになりそうです。Androidも動くので安価なZ21相当の鉄道模型制御サーバーとして動かすのか(Z21を作ったエンジニアがこのプロジェクト見たら卒倒しそうですが)、タッチパネルをつないでCentral Stationもどきにしてしまうのか、いろいろと案が出てきます。

Desktop Stationがそのまま、このボードで動けば最高なのですが、少々難しいのが現状です。このボードがどこでも気軽に入手できるようになるのであれば、AndroidバージョンもしくはLinuxバージョンのDesktop Stationを考える必要があるかもしれません。

※注意:UDOOは、まだ配布されていないものだそうです。もしかすると、モルフィーワン事件となる可能性もゼロではありませんので、リスクを追う覚悟がある人だけが申し込むべきです。なお、私が注文時点で712番でした。意外と申込者はいないです(KickStarterでお金を払った人は除くとは思いますが)。また支払いはPayPalなので、支払日から45日以内なら最悪の事態の際には対応も可能です。超えたらダメですが。コスト的には数万台を見込んでるなら問題ない金額で、現実的な設計かと思っています。
posted by yaasan at 06:34 | Comment(0) | 工作
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