DCCの車両の集電不良対策として、
トマランコンデンサを推奨しておりますが、基本的には
線路や車輪のコンディションを良好にする方が重要なのは言うまでもありません。
トマランコンデンサに使用するのは、通常は耐圧が稼げる電解コンデンサです。電解コンデンサは、セラミックコンデンサやフィルムコンデンサと比較して容量は非常に大きいです。ただし、電池と比較すると蓄えられる量は少ないです。
ESUでは、
PowerPackMiniという製品を出しており、これには電気二重層キャパシタと言う物を使用しています。電気二重層キャパシタは、電解コンデンサよりも莫大な量を蓄えられるのですが、大きな欠点があり、耐圧が非常に低いことが挙げられます。このため、動力に使うには原則として昇圧DCDCコンバータが必要となります。バランス抵抗を使っても良いのですが、電気二重層キャパシタは比較的大きいので体積などの問題が出て、模型用途には不向きです。
たとえば、MP3サウンドデコーダを買うと付いてくる、25V/1000uFの電荷量は、Q=CVという計算式で求められます。
Q=1000×10E-6×25=0.025[C]一方、電気二重層キャパシタでは、たとえば
秋月電子で売っているルビコンの4.7F/2.5Vであれば、
Q=4.7×2.5= 11.75[C]おおよそ、470倍のエネルギー量の差が出てきます。
先ほど申しましたとおり、昇圧DCDCコンバータが別途必要なため、2.5V→12Vに変換する際に大きなロスが発生します。また、昇圧DCDCコンバータにも限界があり、最後の最後まではエネルギーを搾り取れません。
設計にもよりますが、たとえば0.8Vまで対応できる昇圧DCDCコンバータで、変換効率50%であれば、実質的に使えるエネルギーは、下記のレベルまで落ちることが容易に想像できます。実際にはもっと落ちると思われます。
Q=(2.5-0.8)×2.5×0.5=2.125[C]
→おおよそ85倍
とはいえ、数十倍の効果は見込めるわけですから、やってみる価値というのは出てくると思います。
ただ、電気二重層キャパシタをそのまま充放電するようなICは非常に高価で、機能も複雑です。また、最近流行りの自動車のマイクロハイブリッド向けが多く、12V⇔48Vの変換ICはよくありますが、3V弱⇔12Vを行うようなICは少ないです。リチウムイオン電池向けはありますが、電気二重層キャパシタの耐圧と少し差があり、そのまま使いにくいです。
そこで、デコーダの部品をうまく利用して、シンプルにPowerPack miniのようなことができないかと考えて、以下の回路を書いてみました。動作確認すらしていないので、致命的なミスがあるかもしれません。また、集電不良時に、5Vライン経由で循環するという気になる動作があります。

動きとしては、5Vをデコーダから供給してもらい、LDOで2.5Vに落とします。そこから抵抗と逆流防止のダイオードを介して電気二重層キャパシタに充電します。充電が終われば、電流は勝手に流れなくなります。
昇圧DCDCコンバータは、12V出力に設定し、常に動作しますが、12V以上の電圧が掛かっている場合は、電流が流れないようにダイオードを置いています。集電不良時は、電圧が12V未満に落ちるはずですので、昇圧DCDCコンバータから12Vが自動的に供給されるようになります。
電気二重層キャパシタが放電すると、電圧が徐々に下がります。おおよそ0.8Vまで下がると、昇圧DCDCコンバータは動作を停止します。集電不良が改善されない場合は、電気二重層キャパシタの放電と同時にスタミナ切れで止まると言うことになります。
集電できるようになれば、また電気二重層キャパシタに充電され、動作するようになる、という動きになります
上記の回路構成であれば、1000円弱程度の材料費で、実現はできそうかなとは思ってますが、ESUのPowerPackMiniは欧州価格で38EUR弱、VAT抜きで日本円でおおよそ4000円です。既に完成しているので、ESUの方が良いと判断されるケースが多いのでは無いでしょうか。ただし、ESU PowerPack miniは、LokSoundV4専用なので、その他のデコーダを使用する場合にはメリットになるかも知れません。
なお、基板を起こすかどうかは、特に決めてません。とりあえず、回路を考えた、というところまでです。
posted by yaasan at 05:54
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