LEDを扱うのは、電気回路としては比較的簡単ですが、コンデンサなどを組み合わせると、なかなか難しくなってきます。
以前に
オームの法則の解説で、電流計算の仕方は紹介しましたが、改めて、ご紹介します。
とりあえず、TAKA@さんがチャレンジしたLEDテープに着目して、一つずつクリアしていきましょう。
□LEDテープの仕様をきちんと理解する。
テープLEDは、抵抗があらかじめ実装済みですが、抵抗値が大きいので12Vを印可してもそれなりに電流がデカいです。車内照明に使う場合は、調整が必要だと考えましょう。まあ、そのまま使っても良いですが・・・。
どれくらい電流が流れるのか、計算しないといけないです。ここで、私の手持ちのLEDテープを見てみると、抵抗値は、表面に151と書いてあるので、151オーム・・・ではなく、
15×10^
1=150オームです。

LEDテープを回路図にしてみた(LEDが3並列の時):

LEDテープを回路図にしてみた(LEDが3直列の時):

LEDは、いったいどんな物か分かりませんが、白色LEDなので、だいたい電圧降下(Vf)3V弱というのは間違いないので、3Vにしておきましょう。
LEDテープに12Vが掛かったとき、このテープLED(並列)に流れる電流値は 12-3 = 150 * I、I=9/150=60mAとなります。並列に3つ、LEDがあるので、一つのLEDにおおよそ20mAが流れます。まあ、製造誤差があるので、電流はばらつきます。なので、一番抵抗値の少ないLEDがやたら光ります。
直列の場合は、3個直列なのでVfが3倍になるということです。なので、12-3*3=150*I, I=3/150=20mAです。電圧が9V未満になると、ほとんど光らないと思います。
なお、15Vかけたときは、15-3=150*I, I = 12/150=80mAになります。1つあたり、27mAです。33%増の電流が流れるので、結構というか相当明るいですね。3直列の場合は15-3*3=150*I, I = 6/150=40mAです。明るさが2倍も違いますねー。
DCCのように、電圧が変動しやすい場合は、
LED電流ドライバーICを使う方が良いです。定電流ダイオードよりも使い勝手がよく、コストもこなれていますし、秋月でも売ってます。
LEDにも依りますが、パワーオンとかの状態をお知らせするLEDは、数mA(3-5mA)を狙って設計します。
照明用は、もっと電流を流さないと明るくならないですが、照明用は効率もかなり良いように高級に作られているので、少ない電流でもかなりの明るさです。プラ棒、アクリル板などで、うまく分散させて作ると、電流を減らしても照明として成立しますので、結果的に、後述するコンデンサの容量を減らすことができるので、良いと思います。
□コンデンサによる電圧補償
鉄度模型では、車輪や接触不良などで、電源の瞬停が起きます。
この対策としては、デコーダでは
トマランを提案していますが、LED照明においても、おおよそ同様です。
コンデンサの耐電圧は、使う電圧の2倍程度にします。N,HOでは25V以上を強く推奨します。
コンデンサのつなげ方が、ブリッジダイオードのDC出力(+,-)の後すぐです。LEDテープだと、先っぽにパッドがあるのでコンデンサをつけやすいですが、ここに付けるのはコンデンサの最大能力を活かすために、NGです。理由は、配線抵抗の影響を受けて、うまく平滑化ができなくなるためです。

コンデンサの容量の決め方は、2つのポイントで決めます。
@どれくらい電圧が落ちても良いか決める。
たとえば、電圧が12Vから-2V落ちると、10Vなので10-3=150*I, I = 7/150= 46mAです。つまり、一つずつ、15mAになります、15Vかけたときより半分の電流です。光の量も相当落ちるでしょうね。最悪、どこまでを許容するか、決めます。
3直列の場合は、Vfの合計電圧を下回ると光りません(電流が流れない)ので、この電圧を維持するように調整しなくていけません。
Aどの時間まで耐えるか
へのへのもへじさんの調査によると、DCCデコーダの多くは、数十ms程度が多くの接触不良の限界値ということが分かってます。
たとえば、50ms(20Hz)まで@の電圧を保持できる程度に耐えれば良いと考えます。
@+Aを計算する
コンデンサの容量は、Q=CV=Itなので、変形して、C=It/Vとすると、コンデンサの容量を計算できます。V=2, I=60[mA]=0.06[A]、t=50[ms]=0.05[s]とすると、0.06*0.05/2=0.0015=1.5mF、1500uFになります。ちょっとデカいですねー。なお、コンデンサは並列すると足し算で増やせるので、750+750みたいな感じにしても大丈夫です。格納できるスペースと相談してください。
トマラン基板も、1枚=1個のような作りですが、充放電回路(ダイオードと抵抗)自体は、コンデンサが何個あろうとも1回路だけあればOKです。無理に2つに分割する必要はありません。
もうちょっと電圧変動を許容し、時間を短くすれば数百uFまで落とせるはずです。この辺のさじ加減は、自分の好みと、実験から求めていかないといけないと、場当たり的に調整になって、時間がとても掛かります。
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なお、個人的な意見で恐縮ですが、集電不良は、全車集電以外に対策はない!というのが持論です。博物館などのジオラマで走る車両は、車両を限界まで重たくした上で、車両間に配線を通して集電不良を防止しています。欧州の車両も、全車集電対策している物も結構あります。欧州の模型メーカーは、大事なことにはきちんとコストをかけています。
既に当社から廃車してしまいましたが、
Tomix HO VSEロマンスカーは全車集電で、集電性能はピカイチ、凄まじく良かったです。プラでもこんなに安定するんだ!とビックリしました。昨年、たまに出展していたホビセン祭りで安定稼働でした。
posted by yaasan at 19:54
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